平成26年10月6日

「精神科病棟転換居住系施設」容認に強く反対する

精神保健福祉事業団体連絡会

代 表 伊 澤 雄 一

 7月14日に公表された厚生労働省「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会取りまとめ」においては、長期入院者の地域移行促進をはかる諸施策の拡充が強調され、マンパワーの増強や職員研修による病棟の機能強化をはじめ居住支援を軸とした地域の支援体制の整備並びに生活支援に関する諸施策が盛り込まれた、本取りまとめの趣意をまずは評価するものである。
 精神保健医療福祉施策は、平成16年の精神保健医療福祉改革ビジョンにおいて「入院医療中心」から「地域生活中心」への転換が指し示されながら、その10 年間の歩みは遅々たるものであり、状況に大きな変化をもたらすまでには至っていない。今般の取りまとめに強調された多様な地域移行推進策及び多彩な地域生活支援策を質と量を併せ持って強力に施策を展開し、これまでの閉塞的状況を大きく打ち破ることを切に願うものである。
検討会取りまとめはその一方で、地域移行促進策で生じる空き病床、病棟を新たに居住施設に転用するという病棟転換型居住系施設の容認を盛り込んでおり、本施設整備に関しては強く反対の意を表明する次第である。
 本施設整備が実施されれば、「病院のなかに退院する」という矛盾が生まれ、多くの社会的入院者を抱える精神科病院をも「地域」に位置づけるという、極めて異常な状況を作るとともに、長期入院者の真の地域生活を阻み、さらに病床転換をもって病床削減が実現されたと対外的に周知するに及んでは、まさに「羊頭狗肉」の施策との批判を免れないものである。
 検討会のなかでは、病棟転換型施設を容認する構成員からの「致し方ない選択」という意見を背景に、時限的措置とすることや設備整備面で条件を付すことで病棟転換に踏み切るべきだとした。しかしながら、「病棟転換型居住系施設」の考え方は、本年1月に我が国が批准した障害者権利条約とは相容れず、問題の本質を見誤らせるものである。
  当該施設整備の推進は、明らかに障害者権利条約に違反しており、あわせて「国際条約を誠実に遵守すること」を規定した憲法第98条に抵触するものと考える。ゆえに、今後の国家のあり方に大きく影響をもたらす重大な問題と言わざるを得ない。
 このような精神障害者の権利侵害と違憲という根源的な問題と矛盾を抱えた施策に対し、私たちは強く反対し、抗議の意を表明する。このたびの精神科病棟を居住系施設に転用する構想については再度慎重な検討を行い、一刻も早い強力な地域移行を推進する施策の展開により、長期入院者の真の意向に沿う退院促進と地域生活の実現、さらに生活者としての安定的な暮らしの継続と、それを支える良質の体制整備を重ねて強く求める次第である。

以上

【構成団体】
日本精神保健福祉事業連合 (日精連 )
全国精神障害者社会福祉事業ネットワーク (全精福祉ネット )
全国精神障害者地域生活支援協議会 (あみ :ami)